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パン屋でも、何屋でも、その業界ごとに専門用語がありますね。
例えば、演劇やクラシック音楽の世界では当たり前に使われる「ゲネプロ」という言葉は、初めて耳にした時「なんだか汚い響きの言葉だな〜」と思ったものです。(ゲネラル・プローベ(Generalprobe)=通し稽古)

そういった、普段の会話では耳にすることのない、専門用語の響きというのは、どことなく興味深く面白いものだと感じます。
今日は、そんな”パン屋で働くようになって初めて耳にした言葉”を紹介します。


❶ホイロ…
 どことなく間の抜けた響きのこの用語は、2つの意味を持つ別の事物を表します。
 
 一つ目は「プルーファー(Proofer)」のことです。プルーファーは、パンの焼成直前の工程である最終発酵を行う機械で、一般的にはいくつもの段に分かれ、パン生地を置いた鉄板を差し込むことができる、大型冷蔵庫のように見えます。中は、冷蔵庫とは逆に、高温・多湿です。というのも、最終発酵の工程では、ある一定の温度と湿度が必要になるからです。プルーファーは、機械的に内部の温度と湿度を指定することができ、この環境を維持することのできる、いわば「温蔵庫」です。
 パン屋では、この機械のことを「ホイロ」と呼びます。

 ex) 「このパンをホイロの右上から入れてください。」

 二つ目は「ファイナル・プルーフ(Final Proof)=最終発酵」そのもののことです。
 プルーファーの司る工程である、最終発酵のことを「ホイロ」といい、最終発酵させるという意味で「ホイロを取る」と言ったりします。つまり、パンの工程にはいくつか別の発酵段階があるわけです。ミキシングしてからの一次発酵→パンチ→二次発酵→分割・成型→最終発酵…というのが大まかな流れですが、このうち、一次と二次が常温・常湿度で行われるのに対し、最終発酵はプルーファーによって環境調整された基で行われます。
 最終発酵は、製品としてのパンに大きく関わる工程であるため、厳密な温・湿度管理が望ましいわけです。

 ex) 「このパンは、セオリーよりも少し高めに…温度37℃、湿度80%、発酵時間30分ぐらいで、ホイロをとりましょう。」
 
 ただし、最終発酵には必ずホイロ(プルーファー)のような機械が要るかというと、そうではありません。
 ようするに、高湿・高温の密閉された環境を、一定時間維持できれば良いのですから。
 事実、家でパンを作る時には、お湯の蒸気を鍋に溜めるなどして、簡易的なホイロ環境を実現する場合もあります。

 どことなく間抜けな響きだなんて、とんでもない!

 
❷ドーコン…
 初めて聞いたときは「中国語か何かかな?」と感じました。日本語ではなさそうだと思ったけれど、実はこれが英語の名詞の略称だったとは…。

 正確には「ドウ・コンディショナー(Dough Conditioner)」と呼び、直訳すれば「パン生地調整装置」とでもなるでしょうか。これを略して「ドウコン」と称しているわけですが、耳馴染みのない状態で「これはドーコンにいれといて。」と言われると、「ドーコンってなんか変な響き!」と思ってしまいます。
 「ドウコン」が正確な略称なのですが、日本語はカタカナ表記を発音したときに長音符なのか母音なのかを区別できない場合が多いですね(ヒコウキ→ヒコーキとか、封筒→フートー)。音から受ける印象は「同梱?銅痕??」といった感じで、不可思議な単語でした。

 さて、肝心のこの単語が指すものですが、パンの最終発酵のための温度・湿度管理を行う機械の一種です。前述の一つ目の「ホイロ(プルーファー)」とほぼ同じ役目を担うマシンですが、一つ重要な点は、タイマー付きであり、また「温度を下げる」ことができる…すなわち「時間管理ができる温冷蔵庫」です。
 これは、大変便利な機械です。
 正しくセッティングすれば、前日に成型まで済ませたパンを、夜中冷却しておき、翌朝の出勤のタイミングに合わせてすぐさま焼けるようにしておく…といったことも可能になります。
 パンは常温下では常に発酵し、成長を続けます。酵母菌が生きている証でもあります。
 では、これらの成長を止めるにはどうすれば良いのかというと、彼ら(酵母菌)が発酵を行えないほどの寒さにしてしまえばよいわけです。
 一般に、冷却温度−10℃程で、酵母菌の発酵はほぼ完全に停止します。0℃付近では発酵力が下がりますが、それでも発酵は停止せずパンはゆっくりと膨らんでいきます。数時間もすれば原型をとどめないほどに変化してしまうため、少なくともドウコンには−10℃以下まで下げられる能力が必要です。
 ですから、その管理可能な温度の幅はかなり広いと言えます。製品にもよりますが-30℃近くから40℃までで自由にセッティングできるようです。
 
 さらには、いきなりホイロ状態になるなど、過度な温・湿度変化に晒されると、パンの生地はダメージをうけます(冷凍障害)。これを避けるため、ドウコンは「急速冷却」・「冷凍」・「冷蔵」・「低温発酵」・「解凍」・「予熱」・「中温発酵」・「ホイロ状態」と言った、非常に細かい段階でのプロセスを実現する機能を有しています。
 これらのタイミングは、パン職人が任意にセッティングする必要がありますが、これらをパン職人が寝ている間に行ってくれるという意味で、ドウコンのもたらす恩恵は計り知れないものがあります。

 「変な響き」だなんて、これまたとんでもない話でしたね。


❸クープ
 こちらは、なんとなくかわいらしい雰囲気の単語だと感じていました。
 フランス語で綴りは「coupé」です。

 これは、製パンの技法の一つで、ホイロ(=最終発酵)直後のパンに、ナイフで切れ目を入れることで、焼きあがったパンに美しく開いた模様を実現します。
 いわゆる「フランスパン」を想像していただくと、わかりやすいでしょう。
 フランスパンの長い本体の表面には、周りと質感や色の違う、眼状に開けた部位があると思います。
 これが「クープ」された部分で、膨らむ過程で切れ目がどんどん開いていくことでこのようになるのです。
 
 クープは、かわいらしい響きの割に、だいぶ繊細な技術でもあり、思ったように「切れ目」がでないということがよくあります。クープナイフは、適切な角度で生地に差し込み、適切な勢いで引けなければ、美しい模様を出すことができません。また、こうした技術の問題だけでなく、生地の発酵状態によっても、クープの効果は変化してくるため、生地のコンディションが良くなければ、功を奏しません。

 奥の深い技術であり、その言葉は「クープ」と検索すると「クープ コツ」などが候補に挙がるほどです。
 みなさん苦心している様子ですね。


それでは、今日はこの辺で。
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[ 2015-02-26 (Thu) 21:49 ]   Comment(0) / TrackBack(0)
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